散ったとしても。7

吉乃森 雪  2006-04-27投稿
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* * * * *

「はぁっ…」

一人の帰り道、思い出してまた溜息。

理由は二つ。

一つはあの馬鹿のこと。…馬鹿、てのは…まあ言わなくても分かると思う。

もう一つは…

あたしの想い人、“雲英 龍希(きら たつき)”。接点0で会話も極少数。

俗に言う“一目惚れ”。

初めて会ったのは、図書室。




『えっと……』

彼はオロオロしながらなにかを探していた。
普段はおとなしくて、たまに笑う顔がとても綺麗で、自分を乱すことのない人。その彼が少し焦ってなにか探していた。

『……なに、探してんの?』おもいきって聞くと、少しキョトンとしたあと

『…料理の本…明日の家庭実習でなにつくるか決めてないから』

少しだけ低いトーンで答えてくれた。
こっちよ、と料理の本がある場所を教えてあげた。(ちなみに雲英くんが居たのは文庫本置き場で、料理方面と凄く離れてた)


『お菓子系は、一番端…明日の調理実習は確かデザート類で選らばなきゃ駄目なんでしょ?なら、あそこね』

人指し指をピンとその方向へ指した。
雲英くんはそれを目で追って



『ありがとう』

目を細めて、ふわりと笑った。



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