2Mはあるブロックの上から銃殺刑の一部始終を見届けた梅城ケンヤは―\r
『諸君ご苦労だった』
満足気な笑みを見せ風紀委員達に労いの言葉をかけた。
だが、殺されたのは19人―\r
まだ一人残っている―\r
先ほど殺された一人が担架に載せられて運び去られて行くのを眺めながら―\r
『では私も分け前に預かろう!』
梅城ケンヤはゆっくりと腰から拳銃を抜いた。
ブロックの上で赤木マモルが背中を見せ、片手を上げると―\r
裏手からかけられたハシゴを伝って前後を風紀委員に挟まれながら、手錠をかけ、縄に引かれた一人の男子生徒が登って来た。
そしてそのブレザーを乱暴に掴んだ風紀委員によって、彼はブロックの上に正座させられた―\r
私立D中学校三年・田中マサル。
Z区の中でも最悪のイジメグループの頭目で、その凶悪さはかつて梅城ケンヤが殺したあの一条フサエに匹敵する。
無精髭を生やしたまんまのふてぶてしい面構えを見て、ブロックの下に集まったイジメ撲滅同盟諸校の面々は驚きの声を上げた。
今までその凶悪さ・ずる賢さ・手下の多さから誰も手を付けられなかった大首領だったからだ。
何よりもその陰険かつ執念的な性格・手口からみんな報復を恐れて取り締まろうとすらしなかったのだ。
その悪魔を―梅城ケンヤは捕え、更には死刑に処そうと言うのだ。
『田中マサル!貴様は判明しただけでも16人の生徒を自殺させ、更に100人以上のイジメに直接・間接に関与した。この罪許しがたい!!』
梅城ケンヤに合図され、赤木マモルは広げられた判決文を読み上げた!
そして―\r
『よってこの者を死刑に処す!!』
全員のどよめきを浴びながら梅城ケンヤはブロックの上を歩き―\r
手に持つ拳銃を田中マサルのこめかみに当てた!
『この私自ら執行してやろう』
ケンヤは拳銃の引金に指をかけた。
『最後の言葉(ラスト・ワード)は?』
だが―\r
田中マサルは命乞いなどしなかった。
それ所か―\r
『最後の言葉?ふふっ、そいつはあんたが言うべきじゃないのかね?』
こめかみに冷たい感触を受けながらも、しかし田中マサルはとんでもない事を言い出した。
『俺は確かにワルだ。イジメグループの総帥だ。だが―あんた程のワルじゃねえなあ』