「わからん。オレは死んでもたんやろ?」
腕組みして見上げると、男は困った顔をして同じ様に腕組みした。
うん
「死んでるか、死んでないか、といったらやっぱり、死んだという事になるな。」
え?
「おっちゃん今死んでへんいうたやんかー。」
うーん
「とまだお前には難しいかな。」
男は、また頭を撫でてくれながら言った。
「人はね、死んでも魂というものが残る。今のお前はその魂だけの存在なんだ。」
え?
え?
首を、
右へ
左へ
やって考えた。確か、母親がそんな事を言っていた事がある。
「魂か、うーんなんか聞いた事あるで。でもなんで魂って見えへんの?」
うん
「魂は、と〜っても、とっっても大事なものだから、壊されないように見えなくしたのさ。」
誰が?
男は撫でる手を、
つ
と止めた。
「うん、・・神様かな。皆、魂が見えると触りたがるんだ。そしていずれ壊してしまう。だから、見えなくしたのさ。」
「ふーん。」
ぴょん
と男の上から降りた。
「おっちゃん、ひょっとして神様?」
男は目を
まんまる
に開いて声を出して笑った。
「はは、違う違う。神様はもっと偉い方だ、。」
そうさな
「お前達小さい子が死んだ時に、迷ったりしないようにする案内人だな。」
へー
と腰に手をあてた時、母親の泣き声が一層高くなった。
「なぁおっちゃん、もうオレママとパパと会われへんの?」