「おかしいな、なんでエンジンがかからないんだ!」
気味が悪いのと、焦りで手がまともに動かない。
バタン
前の車の後部座席から、スーツに帽子を被った西洋的な、初老の男性が降りて近づいてきた。
男は何か手紙のようなものと、智弘の顔を何度も照らし合わせている。
「すみませんがなんでしょうか。」
智弘は、気味が悪かったがその男に訪ねてみた。
「あっはっはっ、いやぁすまないすまない、何度もじろじろ見て」
その男、いやじいさんは以外にも気さくに声をかけてきた。
「実はね、畑村智弘君を待ってるんだが君がそうだよね?」
「………えぇ私がそうですが」
「ようやく会えた、これで私の役目も果たせる」
「えっなんのことですか?」
するとじいさんは一通の手紙を差し出した。古ぼけた手紙だった。
「これは?何かと聞きたいんじゃろ?」
「………はい……なんでしょうか?」
「いや私もねぇ半信半疑だったんだよ…………………」
と興奮したように、この手紙の経緯を話し出した。じいさんが言うには、自分は、ありとあらゆる世界の骨董品やら、珍しいものが好きで集めていたらしい。まぁ金持ちにありがちな、ミーハーなコレクターだった。
じいさんは都市部で会社の社長をしていて、自然とコレクター仲間も沢山いた。
そんな時、もう二十年以上も前の話だ。ある時、自分と同じくらいの年齢の男が、この手紙を預かってくれと会社に現れた。もちろんじいさんは、自分は郵便配達員ではないからと断ったが、その男の鬼気迫る表情と、強引さに押し込まれ、渋々引き受けた。
さらに男は、この手紙を、いつどこに届けてくれとまで言ってきた。そして、それを言ってすぐさま男は、会社を出ていった。
じいさんもなんで自分がと思い気に求めなかったが、最近ふとしたことでこの手紙を思いだし、気になって今日に至ったそうだ…
「でなんで二十年以上前に私に手紙なんか…」
「いや、わからんのだよ。その後その男は現れなかったからのぉ」
智弘は、不思議と言うか気味が悪いような感じだったが、手紙を受け取った。
「でわワシはこれで失礼するよ」
「は、はいなんかすいませんわざわざ遠いところから」
「いやぁなにワシも確かめたくての。
おぉそうだ、こういうのも何かの縁じゃ、ワシの名刺を渡しておこう…」
「あっありがとうございます。」
そういうとじいさんは帰っていった。