「努力は実を結ぶ」
「努力は報われる」
「ガンバレ。頑張ったら必ず結果がついて来る」
頑張れ、がんばれ、ガンバレ...
小さい頃からずっとそう言われてきた。
頑張ることは美徳。
頑張って当然。
なんの取り柄もない俺は、頑張るしかなかった。
でも、俺はもう頑張れないところまできていた。
「ガンバレ、俺」
自分にいい聞かせることもできなくなってる...。
俺は、森谷一歩。俺には双子の姉貴がいる。双子のもう一人の名前は「千里」俺らの名前は親父がつけたらしい。
「千里の道も一歩から」
確実に歩みを進める人になって欲しい。
そういう願いを込めて、この名前をつけたらしい。小さい頃、名前の由来を聞いた時はピンとこなかったけど、今は堅実な親父らしい発想だと思える。
俺は大学3年生。3年の3月なのに就職が決まってない(--;)
千里は12月にはすでに内定をもらっていた。
千里は小さい頃から容量が良くて、成績も良かったし、先生からのウケも良かった。いつも学級委員をやっていたし、まぁ、そんなに美人じゃないけど地味過ぎず、派手過ぎずってトコだ。でも、千里は親父の狙い通り、確実に歩める人だった。気がついたら大学なんて、あのお嬢様学校のF女に行ってる!俺ンチってそんなに金あんのかよっ?って思ったけど、さすが千里は勉強もしつつ、バイトもこなし、その上奨学金をもらえる手筈まで整えて、親に負担をかけないようにしてるらしい。姉貴ながらに素晴らしい!そんな千里と打って変わって、俺は成績はそんなに良くもなければ悪くもない。今の大学も一流じゃないけど、三流でもない感じの、2.5流ってトコかな。バイトはしているけど、自分の小遣いを稼ぐぐらい。千里とは大違いのオレ。
就職ってなんだ?働くってなんだ?
「オマエなに寝惚けたこと言ってんだよ」
小学校からの親友の中嶋が言ってきた。
「だってさぁ、オレ特別やりたいことないし、就職説明会に出れば出るほど分からなくなってくるんだよ〜。仕事ってなんだ?オレ何をやればいいんだ?」
「あ、オレ決まったから」
「なにィ!!!!!?」
「そういう訳だから、じゃあオレ用があるから」
え〜...。おいてかないで中嶋ちゃーん...
オマエまで決まっちゃったの〜...。おいてかないでよぉ。いつも一緒だったじゃんかよ。
今は春じゃない、人生の冬だ(+_+)