一瞬、ためらったが、お互い式をさぼっている共犯者だ!何を気にすることがある!とまたしてもここで開き直り前進することに決めた。 屋上の扉を越えた時、すごい勢いで風が僕にぶつかってきた。あまりに突然で一瞬よろけそうになったが、目を開けた、その一瞬、心臓がとまるかと思った。 さっきの強風で上空まで、舞い上がった、桜の花びらがひらひらと下に向かっておりてくる。そのまさに下、屋上の真ん中で君は踊っていた。 今でも覚えている。そこはまさに君のための舞台だった。どこまでも広がる青い客席。太陽のスポットライト。君にあわすように桜の花びらも一緒に舞っている。 舞、君にこの話をするといつも笑っていたね。『海はいつも大げさよ。私の踊りはそんなのじゃないよ。でも嬉しい… ありがとう。海のために踊ってあげる!何がいい?リクエストは何なりと!』 舞、笑ってもいいからまた僕の話を聞いてよ。踊ることに疲れたらいつでも休んでいいんだよ。舞は舞なんだから。大丈夫だから。 君がいてくれるだけで僕は生きていられたんだ。