十年前
長いようで短いような
どちらとも言えない遠い昔
この十年間
ただ君だけを想い過ごして来た
思い出を捨てきれずに胸の中で静かに燃え続ける想い
君は何処かで笑っていて
あの頃よりも大人になって
私の知らない誰かと幸せに過ごしている事だろう
君の幸せを一番に願い
決断に踏み切ったあの別れを後悔はしていない
現実を見る事は決して簡単ではなかった
泣き腫らした顔
声を枯らして何度も読んだ君の名前
息が出来なくなる程の胸の痛み
まだ消えない記憶が私を苦しめる
誰かの身体を借りて君を思い出す
こんなに悲しい事はない
僅かに芽生える罪悪感も
再び甦る君への愛も
全てが混ざり合って虚しくなる
君の目の前に明るい未来が広がるように
そう願って来たはずの思いが嘘になる
本当は自分だけの幸せを願い生きている
君と劇的な再会をして昔よりもっと愛し合えたら
可能性の無い馬鹿げた妄想
こんな私を忘れて暮らしている君を疎ましく思う
寝ても覚めても君の事ばかり
もしも記憶喪失になって全てを忘れてしまっても君を見ればきっと涙を流す
頭の片隅に残った恋心と君の笑顔を思い出して幸せを思い出せる
もうコントロールが効かない
愛し過ぎた
小さい身体で君を懸命に愛した
やり場の無い想いが私の身体を蝕んで行く
この十年間君だけだった
これから先
また十年
それからまた十年
同じ苦しみを引きずるとしたならきっと私は自分を失う
幸せを見付けることが出来ずに崩れてしまう
どうか忘れさせて
かつての二人に
かつての君に
かつての自分に
かつての思い出に
胸が締め付けられる