* * * * * *
ミズホさんは、最後の一束のあたしの髪を、コテにくるりと巻き付けたー。
『奈央ちゃん可愛いい〜っ!!』
これがー
あたしー?!
鏡の中にはー
くるくるに巻いた巻き髪が、セミロングの長さには少し無理があったがー
明るいブラウンのカラーがー
限りなくブラウンに近い大きな瞳には、とても相性が良くもありー
そんなー
まだあどけなさの残るー
一人の少女の姿があったー。
『女のコって、髪型だけでこんなにイメージ変わるんだネ。奈央ちゃん、凄く良く似合うよぉ。』
信じられなかったー
自分がー
こんなに可愛くなれるなんてー
思っても見なかったー。
『奈央ちゃん。あたし、もっと可愛くしてあげたくなっちゃった。』
ミズホさんのキュートな笑顔に八重歯が覗いたー。
『もっと可愛く‥ですか?!』
鏡の中のー
一人の少女はー
何故そんなにも悲しい目をしているのー?!
鏡の外のー
此処にいるあたしはー
あなたには、どんな風に見えているのー?!
あたしは、あなたー
あなたは、あたしー
あたしはー
不意に自分が、自分じゃなくなる様なー
不思議な感覚に囚われたー。
それでも、ソレに期待してー
そしたら、ソレにドキドキしてー
『メイクもしちゃおう!!』
ミズホさん、楽しそうー
あたしがどんどん変身していく姿に、
一番驚いているのは、
もしかしたら、
ミズホさんなのかも知れないー。
『奈央ちゃん、目線を下にしてネ。』
ミズホさんは、慣れた手付きで、あたしの目にアイラインを引いたー。