居酒屋…ふみ子…
場末な雰囲気を醸し出すこの店に通いつめてもうしばらくたつ。私がこの店に通う理由は単に酒や肴が旨いというだけではない…
この店の女将…ふみ子を愛してしまったのだ……
こんばんは。
あら、いらっしゃい(笑)今日はもう店終いするとこだったの。
まだいいかい?
どうぞどうぞ!暖まって行って。
私はおもむろにカウンターに座り熱燗と適当に料理を作ってくれるよう頼んだ。
女将…最近、部下との折り合いが悪くてね…疲れちゃったのよ…
まぁ…課長さんともなると気苦労が多くて大変ね…
そんなときはこれ!「鈴木さんの目玉煮込み」よ!
おぉ!?鈴木さんの目玉??
魚のスズキの目玉なのだろうか?まずは一口食べてみた。
………美味!!!………
味付けが絶妙で舌の上でドロリと溶け、ほのかな甘さが私の疲れた心をほぐしてくれるように感じた。
おいしい?
女将の料理はいつも最高!絶品だよ!!
フフフッよかった。
次は、「佐藤君と鳥山さんの中華炒め」よ!
女将はにんまり微笑むと次の料理を出してきた。
砂糖と鳥肉の炒めもののことか?ネーミングに疑問はあるが食欲には勝てず、とにかく食べた。
モグモグ、んぐんぐ、くちゃくちゃ…
いや〜これも美味いよ!女将!!
職場の嫌なこと全部忘れられそうだ!!
フフフッあなたに気に入ってもらえて嬉しいわ。
鈴木さん、佐藤君、鳥山さんも喜んでるんじゃないかしら。
女将は業務用冷蔵庫からスイカほどの包みを二つ取り出した。
鈴木さんのは頭ごと煮てしまったからもう無いけどこれは佐藤君と鳥山さんよ……
…ハラリ…
解かれた包みの中にあったのは紛れも無く我が営業3課の…
ウゲェッウボァッ!!
私は部下の首を見ながら鳴咽した。
私、あなたがこの三人と上手くいってないの知っていたの!!私、あなたのことを愛しているの!!!
女将はそう言うと満面の笑みを浮かべ包丁を取り出した。
私は…薄れ…ふ…み子…愛して………………………