「………」
ほら、きた。
「…ストーカー?」
ムカつく位にこにこっとした顔で目の前にいるのは、可愛くて人気の私の幼馴染み。上級生からモテる私の幼馴染み。ふわふわした髪がなびいて綺麗な幼馴─「誰が悠理をストーカーしたいと思う?」
──…死刑決定。
「っあんたね!毎回毎回ぴょこぴょこ現れてストーカー以外なんだってのよ!?」
「もしかしたら殺人犯かもよ?『アタシ達のアイドル翔様に近付きやがってぇ〜!!』て暗殺を企んでる女子かもよ?」
「この自意識過剰野郎!!」
「プラス自信家で!」
なによ!人の気も知らないで!!
…こんなキャラじゃないのにコイツと居ると私じゃなくなるみたい。
ほんと、お互い昔から負けず嫌いで言われたら言い返すからラチがあかない。
最終的には私の溜息で終わる、だけ。
「…いいわよね、あんたは呑気で。」
言葉をその場に捨て、くるりと踵を返して足を進めた。
これ以上左右されたくない。
「呑気、かー…うーん。言うほどソレじゃないんだな、実は。」
「自覚0?」
「あははっ、それも有りかな〜」
「…良く解んない」
「……いーのっ、わかんなくて!!」
ぐいぐい、と背を押す翔の顔は見えない。