花は咲いてもボクは咲かない。
咲けない。
光が足りないから。
水も。温度も足りない。寒い。
……どうして花は咲くんだろう。
こんなにも冷たい場所で。ひび割れた地面で。
闇に包まれているのに。
どうして。
ボクには何もかも足りなかったよ。
光という名の夢も。
水という名の希望も。
温度という名の愛も。
何もかもが。
……なぁ。
君はどうして咲くんだい?
一人でつらくはないか?
光が足りなくないか?
水が足りなくないか?
温度はあるか?
――どうして。
キラキラ輝く、花を見つめる。
見ていてわかった。
ようやく知った。
君自身が輝いているからだ。
君は負けたくないんだね。
何が足りなくても、どんなに絶望的な状況でも。
だからそんなに綺麗なんだ。
「咲ける」んだ。
……ねぇわかったよ。
ボクも……頑張るよ。
負けない。
「咲いて」やる。
だから……だからそこで見てろよ。
ボクの花を。ボクの花の色を唄ってくれ。
――そうしたら、ボクに名前をつけてくれるかい?