ぼくらの金メダル〜9

Kっち  2008-03-19投稿
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朝晩少し涼しく感じられる9月半ばの日曜日、曇り空の中、ヘリコプターからボールを投下するといった派手な演出の開会式だった。市内にある、ほとんどのチームが参加する大きな大会だ。この大会では、過去3連覇している。この年、僕たちが優勝すれば、4連覇になるといったプレッシャーのかかる大会だった。

1試合目…5−1 ピッチャーの好投、バッテリー間の息のあったプレー、安定した守備、安心して見てもらえる試合内容だった。
2試合目…2−0 今まで2回対戦して、なかなか点が取れなかったチームとの対戦だ。いつも、最終回に自滅して負けてしまっていた。いつもどおり苦しい試合展開ではあったけど、最後まで諦めなかった。最終回、意地でもぎ取った2点だ。リベンジ完了だ。スゲーうれしい瞬間だった。
準決勝…2−0 今まで楽に勝っていたチームに苦戦し、なかなか点が入らなかったけど、それでもなんとか勝利。
そして、決勝戦。ここ最近の試合では予選敗退が続いていたので、ここまで来たことに、もちろんのことながらチーム全体盛り上がっていた。今まで、勝てなかったチームにもリベンジを果たして勝ち上がったのだから…。そして、決勝戦の相手は…あの県予選で、くしくも1回戦負けを強いられたチームだった。もちろん、相手に不足はない。本日2度目のリベンジのチャンスだ。今の僕らは、あの時の僕らとは違う。決して負けない。…先制点を取ったのは、僕らだった。1−0…最終回まで踏ん張った。最終回、裏の守り…このまま逃げ切ったら…待望のリベンジ、念願の初優勝…になるはずだった…。ノーアウトから、ランナーを出してしまった。バッテリー間に、少し焦りが出てしまった。ツーアウトまで取ったものの、ランナーをためてしまっていた。タイムをとり、冷静になることに努めた。監督、コーチ陣も、この緊迫した情況にバタバタしてしまっていた。結局、経験不足から落ち着きを失い、パスボールで…相手に点を与えてしまった。バッテリーは泣いた。悔しさを押さえ切れず泣いた。
春に味わった『準優勝』は、喜びに沸いた。この日味わった『準優勝』は、悔し涙の苦い味がした。でも、それは、僕らが成長した証なんだと…後から、大人たちが言っていた。
僕らが味わった、この悔しさは無駄に終わらない。この後に起こる奇跡のきっかけに他ならなかったからだ。

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