待ち合わせの場所にはもう真と夏織がいた。2人でオレを見て、ニヤリとした。
「お待たせ〜」
「よし、じゃあデートも終わったし、次行くかァ」
真はそういうとオレのそばに来て、
「悪いね、もう少しデートしたかったか?」
とニヤニヤしながら呟いた。オレは真の脇腹をこずいた。
そのあとは普通に遊ぶだけで吉川との関係が進展することもなかった…。
「大木幸」
壇上で名前を呼ばれる。ついに卒業式の日になった。この前の遊園地に行った日から一週間近く経ったが無論吉川に告白なんてできていない。このまま終わっていくんだなぁ…そう思いながら校歌を歌い、式は終わった。
担任のありきたりな挨拶も終わり、オレはすぐに帰ることにした。辺りには第二ボタンを狙う後輩の女子がたむろしていた。その集団には縁が無く、告白する勇気も無いとただただ虚しさが広がる。大きな溜め息をする。
「大木!」
そんな虚しさを吹き飛ばす、オレの好きな声…。
「吉川…」