2ゲーム目に入ると、一郎の調子が明らかにおかしくなったのがわかった。投球フォームが1ゲーム目とは全く違っていた。
驚き顔になりそうだったが、かっこいいところを見せるために、爽やかな顔を崩さないようにしていた。
するとボウリングのほうも調子が上がり、結果的に俺が1位になった。
ゲームが終わり、隣のレーンを見ると、そこにいたのは全く知らない人達だった。
「由紀」達は俺の気づかぬうちにいなくなってしまっていた。結局その日「由紀」が見栄を張った俺を見ることはなかった。
あの日以来、俺は同じクラスにいるにもかかわらず、「由紀」に近づくことができていない。
それでも日が経つにつれて「由紀」を思う気持ちは高まっていった。
テレビで大好きな星占いを見てても、静かに風呂に入っていても、彼女が頭をよぎる。
俺は喋ったこともない人に恋心を抱いている…。