『痩せたら、連絡するから。』
その言葉を少しだけ、信じてみたかった。
一つ年上? そう思ってた。
加代と言う名前も
源氏名だと。
再会の日から
加代は佳代とかわった。
佳代が二杯目を飲み干す前に、俺の三杯目をマスターが入れてくれた。
佳代の好きな花を知る前に佳代の好きなケーキを知る前に、
Bourbonが好きな事だけ、理解出来た。
JazzがBGMとして気持ち良くなる頃
『ミッキーマウスは嫌いじゃないですか?』
佳代は俺の四杯目のBourbonをマスターに変わって、入れてくれた。
ミッキーマウスの花火がBGMにかわる時、
佳代にBourbonを口うつし。
張り詰めていた気持ちは涙にかえた。
二人でミッキーマウスをベランダで見る夜が始まった。
Bourbonの空瓶が並ぶ。
その数が二人の時間。
俺の通勤時間が一時間余り増えたのに、佳代の帰宅は一時間早くなっていた。
同棲が始まった22才夏。
Scene1