…キ−コ−キ−コ−…私の頭の中で聞こえる…キ−コ−キ−コ−…何度もなんどでも……自転車をこぐ音………いつも…それを…感じると…後ろを振り返り誰もいないことを確認する…いつも…いつだって…まるで私に近づいてくるようで…
もし追い付かれたら…一体どうなってしまうんだろう…私は……
「話をちゃんと聞いてんのか…片桐?」
携帯の向こうからの冷たい声…
「あっ、はい聞いてます」
それに…いつもどおり返事する私…
「今回のボディガ−ドはあまり、お前の性格とあわんかもしれんが…まあ、最近人手不足だ…どっかの結婚相談所みたいに望んだとおり…の奴はいねぇい…少しは…我慢してくれれば…」
「分かってます、さっきちゃんと話はつけました…今回はあれで仕事します…。」
…本当に冷たい私の声「そうか…依頼内容は後から追って連絡する」
(ピッ)
それだけ聞くと私はすでに携帯を切っていたそして胸のあたりに手を置き
「嘘…つき…いやがらせのくせに…」
そうつぶやくと…体がまださっきの感触を覚え震える…
さっき言い争ってた茶髪の男…あれが今回の私のボディガ−ドのはず…だった…
…嫌な映像が目の前に浮かぶ私は必死に首をふりその映像を振り払う…これでいい…
代わりのボディガ−ドを雇ったんだから……目の前に見える星空を見ながらわたしはつぶやく…ふぅ……………女は胸ポケットからライターとタバコを取り出す…パッケージには(SEVEN STAR)と表示されている…
…ああ…やっと…落ちついた…
女はタバコをふかし始める…その姿はさっきの恥じらう少女の美しさは少しも感じられない…痩せこけ…顔には少し涙の後さえある……あと…少し……
向こうが少し…明るいコンビニだった…そこにいかにも格闘技をやっていそうな男が一人本を立ち読みしているそれを見つけると女は急いでボサボサとした髪を整え、化粧をし直し…そこに向かう………急がなきゃ…急がなきゃ…
女は自動ドアをくぐり男の隣に並ぶ…雑誌を読むふりをしながら…男も女を気にしているようでちらちらと見ている、女はわざと聞こえるように小さくはなしかける…「私のボディガ−ドになってくれません?」