君に捧ぐ 〜16〜

k-j  2008-03-22投稿
閲覧数[402] 良い投票[0] 悪い投票[0]

君と別れてから1年が過ぎた。
早いもんだ。僕はなんにも変わってない。変われていない。
大学に入ったかと思ったらもう2年生になる。もう20才になる。
君と出逢ったときは17だった。君はまだ15才だったね。
君はもうすぐ17になるんだ。信じられないよ。変わったろうか。いい人と出逢えたろうか。
君と一緒にいた頃から1年が過ぎたなんて感じられない。
今でも1人でいると、ふと君が現れるんじゃないかと思ってしまう。
でも、時間は過ぎていく。容赦なく君といたことを思い出にしていく。1つひとつをぼかしながら……。

あの場所を君はまだ覚えてるだろか。
公園の端の倉庫の影。
バルブのついたコンクリートの塊。
そこに寄っ掛かってよく駄菓子を食べたね。
君を初めて愛しいと思ったのもその場所だ。
あそこに行くと、あの頃に戻った気がする。
僕は長い夢を見ていて、目を覚ますとあの頃のまま何も変わってない――。
そんなバカみたいなことを思ってしまう。
僕の中の君があやふやになっていく。
 声はもうどんな感じだったのかわからない。
顔すらぼやけてしまっている。
僕は君をまた失うのか。君を思い出すことすら出来なくなるのか。
自分が憎い。そしてそれ以上にどうしょもなく哀しい……。

1つだけ、確かに覚えているものは君の香りだ。
君と離れてから一度だけ感じた。
バイトで一緒だった女の子から香った匂いだった。
頭よりも先に体が反応した。その瞬間心臓が急に速くなった。
とても懐かしく、切なく、悲しい匂いだった。なんの匂いか気付くのに少し時間がかかった。
僕は鼻の奥がつんとするのを感じた。
僕は君に包まれたような気がした。
とても君に会いたくなった……。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 k-j 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
〇beauty hand〇
海外セレブに人気


▲ページトップ