「おはよう」と元気な声が隣のホームから聞こえてくる。女子高生達がケータイをいじりながら話しをしている。そんないつもの時間が過ぎていく。
僕は2ヶ月前東京にきた。地元の大学を出たあと、特に夢や目標もないまま勢いできてしまった。別に東京が好きな訳でもなく、ただなんとなく魅力があった。そんな気がしたからだ。仕事は飲み屋のバイトで朝7時まで働く。
疲れた体で電車を待っていると僕の名前を呼ぶ声が音楽に混じって聞こえてきた。最初はどーせ同じ名前の奴を呼んでいるのだと思っていた。すると目の前に女性が来た。突然イヤホンを外され、
「ハルだよね??高校の時同じクラスだった晴だよね?」
とビックリしている僕に間髪入れずに言ってきた。女性の顔をよく見ると、確かにどこかで見た事ある感じがするけど、名前が思い出せない。すると
「ナナだよ!隣の席だった!」
と言われようやく思いだした。
「えっ?あのナナ??」
と心の中で思った。高校の時は特に彼氏がいたとか、目立つような感じの子ではなかったが今目の前にいるナナはなんとなく面影があるが別人に見える。なんとも可愛い女性になっていた。彼女ととはたまに話しをするくらいだった。
「あれから4年経つんだね。」
と言われまだ拍子抜けしている僕は
「う、うん。」
としか返せなかった。それから電車がくる2〜3分だっただろうか、彼女と話しをした。その時間が10分位に感じた。電車に乗ると3駅で彼女は降りてしまった。僕は一人になり胸の高鳴りが治まらないでいた。危うく降りる駅を通り過ぎそうになり慌てて電車を降りた。