（あぁ…、遠野さん。
君は女神だ、君以外の女など美しい月を彩る星にすらならない…。
いや…むしろ美しい月を隠す雲のようなもの…雲すら勿体ない。
同じクモでも奴らは蜘蛛だな…クククッ。
回りの男どもは美しい花に群がる蝿のようなものだ、彼女の魅力に気付かない男は群がる蝿にすら劣る。
彼女の魅力に気付いている男ども…惜しいかな、彼女の魅力に気付いたのは当然だが…残念ながら彼女は僕のもの。僕等の回りで祝福の音色を奏でてるがいい。
もうすぐ彼女がやってくる。今日も素晴らしい一日になるだろう。
ふふふ…アハハハハ。
ん？誰だあの男は？
何故僕の遠野さんとくっついている！？一緒にいるんだ！？バイクなんて危ない物に乗せて万が一があったらどうする気だ！今すぐ…アノ男ヲ離サナケレバ…）
「オハヨー、琴っち。」
「あっおはよ、文ちゃん。…って此葉姉は？」
「朝メール来て遅刻ギリギリだから自転車じゃなくてカボチャの馬車で来るって意味不明な暗号きたけど…」
「何それ？昨日ダッシュで帰って頭打ったのかな？」
そんな話しをしているとバイクの音が近付いてくる。
ヴゥゥゥン。
「あれ？後ろに乗ってんのうちの制服じゃない？」
「だねぇ。誰だろ？」
スチャッと足を開いてさながらバイカーのように降りてくる。
「あっパンツ見えた。…今更しゃがんでるし。」
「立ち直った。…お？こっちに歩いてくるよ。」
フルフェイスのヘルメットを脱ぐと何事も無かったかのように…
「おはよ！文ちゃん。琴ちゃん！」
「此葉姉！？」
「何々！誰よあの運転手！ついに此葉姉にも春なわけ！？」
「ち…違うよっ！前話した親戚だよ。」
慌てて否定する此葉を見た瞬間二人は走り出す。
「オハヨーゴザイマース私此葉の親友の竹田文（あや）で〜す！」
「同じく親友の一条琴美です！」
食ってかかるかの勢いで迫ってくる二人にたじろいでしまう…。
「あ…あぁ…、おはよう。此葉が世話になってるな…」
「いぇいぇそんなことないですよ〜！」
「そうですよ〜。逆に助けてもらってますから〜、お兄さんの名前教えて下さい！あと顔も見たいです！」
一気にまくし立てる二人組。
「ちょっ、コラー！」
慌てて戻る此葉だったが、
「遠野…洋介だ。」
勢いに負けヘルメットを取って自己紹介する洋介だった。
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