「「きゃ〜!」」
「カッコイイ!」
「イケメンだ〜っ!流石此葉が憧れ…」
ガスッという衝撃で言葉を遮られる。
「文ちゃーん。余計な事は言わないでいいし、そろそろ学校に向かわないとチャイムに間に合わないヨ?琴ちゃんもネ?」
「うぉ!…目が据わってる…」
思わず洋介も此葉の表情にびっくりする。
もはや殺気とも言えるオーラを身につけた此葉を前に二人も、
「そ…そうね…」
「ち…遅刻はまずい…もんね…」
と蛇に睨まれた蛙のような心境だった…。
「んじゃ洋兄。行ってくるね。」
「お…おう。頑張ってこいよ」
半ば無理矢理に此葉により話しをうち切られた時に、
「おはよう遠野さん。」
「あっ部長、おはようございます。」
「お話の最中申し訳ない。ちょっと明日の部活の件で話しがあるんだけど…」
そういって洋介に謝罪してくる。
「いや。構わないよ。んじゃ俺はそろそろ戻るから。」
「うん。ありがとね。帰りもよろしく。」
「ああ、わかってるよ」
洋介は此葉の分のヘルメットを受け取ると自分ヘルメットを被り発車しようとした時、不意に視線を感じた。
回りを見てみると反対斜線に慌てて視線を外す男が一人。
あの姿は部長という男が着ていた制服と同じ事から此葉と同じ学校であろうことが伺える。
「(なんだ…?あいつ?)」
ちょうど反対車線をバスが通過する。
「(あっ…。)」
通過した後にはその男の姿は消えていた…。
(くそっ!なんだあの男は?遠野さん…いや俺の此葉の親戚らしいが…。
僕に気付いたのか?
あの此葉の表情と態度は親戚以上の気持ちを感ジル。
アノ男は俺達ノ仲には不要ナ男だ。
急いで消去しなければナラナイ。
セッカク手に入レた力なんだ…、彼女ハ俺だけのモノなんダ。
消去しなけれバ………。
消去シナければ……。
消去シナけレバ…。
消去シナケレバ。)
(ソウダオマエハ”力”ヲ手にニシタノダカラ。
ソノタメノ”力”ナンダカラナ。
消セ。
オ前ガ考エタコトハ儂ガ全テ叶エテヤル…)
(そうさ、此葉は僕のナンダ!フフフ…此葉に近付いた事を後悔サセテヤル。
クククッ…ハハハハハ…あははははははははは)