暖簾も無いオンボロ食堂4

KURO  2008-03-23投稿
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ぐるりと見回すと座敷への上がり口の柱に半紙のメニューが一枚だけ貼ってあった。
私は再び立ち上がり、メニューを見るべくダオ〜ン!ダオ〜ン!と弾んで行った。

メニューは極一般的な内容で、蕎麦・うどん・ラーメンとドンブリものに定食だった。
「フーム‥かけ蕎麦、肉蕎麦、天蕎麦か‥ ナルホド‥
ラーメン類は‥と‥。お!中華そばと来たね!いいね!やっぱりこういう店ではラーメンでは無く中華そばと呼びたいね!流石にわかってるね!よし、中華そばにすっか!」 
と、値段を見ると何と一杯四百円!そして大盛りがたったの五十円増し!
今時、五十円増しで大盛りに出来る店など滅多に無い。私は感動の余り目頭が熱くなった。
然も更に加えてチャーシューが百円増しだった。
つまり「願いましては、足す事の中華そば四百円也、大盛り五十円也、チャーシューが百円では?」
「五百五十円でーす!」
「御明算!」
「やってて良かった公文式!」と云う事になる。

私は震える声で「ちゅ‥中華そばの大盛り」とばあちゃんに伝えると、ダオ〜ン!ダオ〜ン!とテーブルに戻った。
些か頭がクラクラしている事に座ってから気付いた。
この食堂、タダ者では無い。

続く



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