狂った笑みが溢れ落ちる。
口許が吊りあがって、弧を描く。
…目が笑っていない。
右手には包丁。
持つ手は汗一つ溢れず、逆に蒼白。
左手には手錠。
おいおい、どこから手に入れたんだよ?
人生最大の危機かもしれない。
今日が最後かもしれない。
じりじり、と。
追い詰める女の目は憎悪と殺意に満ちている。俺を殺すのに何の躊躇いすらない、きっと。
「やめてくれ…」許しを乞うても、やめるわけない。こいつの目をみろ、獣だぞ。
「俺が悪かった。」そんなこと知ってんだよ!って逆鱗に触れた。
「あいしてるよ。」
「お前だけだ。」
急に静かになるオマエ。
ああ、よかった。怒りは収まったみたい。
「もう、キャバクラなんて行かねぇよ。」
常に戦争。
デスマッチの嵐。
これこそがバカップルの定義なのだ。