「・・・ママ、ママ。僕は最後に貴女の願いをかなえて死にたい」
扉の向こう、すすり泣くママの声に向かって僕は言った。
「遊ちゃん、遊ちゃん。ママは憎いのよ、あなたが生きることを許さないこの街と・・この世界が・・・!」
「・・・うん。・・・」
・・・でもね、ママ。
僕はこの世界を愛しているよ。
・・・貴女を育んだこの世界を。
だってこの世界がなかったら、僕は貴女と会えなかった。
貴女の望みはかなえる。
だけど許して。
僕のこの願いだけは・・・譲れない。
「かくして一度この世界は滅んだ、兵器『破壊者』によって」
「・・・『破壊者』・・」
記憶(メモリー)の中の『破壊者』とは違う。私の知る『破壊者』はもっと冷徹で無機質だ。
「『破壊者』はただの機械でなく、意思があったのですね?」
「ああ、それを知る者はもう私だけだがね。」
椅子にもたれかかったまま、サカグチは大きく息を吐いた。