「少し休憩を挟みますか?」
私は疲れた様子のサカグチに聞くと、
「いや・・いい。あまり時間がない」
彼は笑って首を振った。
「この島が海に沈むのは・・・時間の問題だからな。・・・それに私自身、そう長くはもたないよ。」
「そのような弱気なことを言われては仕える者として困ります」
「・・・ああ。だけど事実だ。・・・私が死んでも、君は島の者たちのために働いてくれ」
「サカグチ。」
「・・・それも遺言の中の一つだ」
「・・・了解いたしました」
「・・・海を恐れずに生きれるのは、この世界では・・もう君ひとりだから」
「ええ・・」
「・・さあ、日が昇らないうちに終わらせてしまおう」
サカグチは背もたれから身を起こし、再び話し始めた。