ホテル前の広場は魔獣達の肉と血で赤くペイントされ、所々爆発で地面が月のクレーターの様にでこぼこになっていた。
そして、ここで生きている者は白い戦闘服を着た三人だけだった。
｢魔獣ってもっとデカくて強いってイメージがあったのに…｣
｢予想に反して小さくて弱かったな…｣
龍華が言った言葉を力也が繋いだ。
二人の魔獣の脳内イメージは巨大なドラゴンや巨大なトカゲの様な姿の暴竜(レックス)、巨大犬(ケルベロス)などとにかく巨大な獣の姿だった。
しかし目の前にいるのはグロテスクなトカゲ人間。
期待外れな現実に、安心感と物足りなさが入り混じったなんとも言えない感情を抱いた。
｢魔獣って言ってもピンからキリまで居るからな。
強い奴は強いよ。
それと弱い奴でも…｣
オロマはそう言うとチェーンソーを起動させ、力也の隣の空間に突き刺した。
｢生命力はいっちょ前だから気を付けろ。｣
オロマのチェーンソーは腹を突き刺された魔獣の脳天に突き刺さっていた。
｢うわぁっ!!
コイツ…まだ生きてたのかよ!?｣
力也は魔獣の驚異的な生命力。
そして自分が狙われていた事にゾッとした。
｢頭を叩くか、手足を潰すか、胴体真っ二つにする。
それが魔獣狩りの鉄則だ。
油断してると殺られるぜ。｣
魔獣を倒して油断していた二人の心は再び戦闘体制へと戻った。
まだ…戦いは終わってはいない…
｢それよりジュリアの奴はもう片付いたっていうのに何してんだ? ｣
三人が魔獣を全滅させこの様な雑談を始めてもう十分は経っている。
しかし屋上から狙撃していたジュリアは何故か降りて来ない。
｢何かあったのかなぁ?｣
｢とりあえず連絡してみるか。｣
龍華が無線を取り出し、連絡を取ろうとした時、受話器の向こうから彼女の声が聞こえて来た。
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