ジイ

Gon  2008-03-25投稿
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体が疼く。誰かと肌を合わせたい。誰かに抱かれたい。でも、そんな奇特な人間はこの世にはいない。きっと。
いるならとっくに現れているはずだから。
鏡の前で服を脱ぐ。自分の息づかいで鏡が曇る。
自分の裸体に興奮する。
胸に手を這わせ、まさぐる。
来る快感に体は待ちきれなくて興奮している。でも僕の目は静かで心は冷えている。
僕のその空虚な胸に、性器を膨らませている熱い血潮が注がれることはない。
目を瞑り、理想の相手を想像する。いま幻の人間とセックスする。
空いている手で股間をまさぐり、勢いよく擦る。
実際のセックスとは程遠い快感。でも止まらない衝動。
肉体の絶頂はいとも簡単に訪れる。5分とかからない。
射精した途端、淡い幻想はショボショボと消え失せる。あれほど恋焦がれた情熱は消えてしまう。
違う。
僕が求めていたのはこんなんじゃない。
そういいながらずっと生きている。

蛇口をひねり、汚れた手をゴシゴシ洗う。
仕方ないのでパンツを履く。パンツに白い染みがつく。

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