甘いワナ?

夢月  2008-03-26投稿
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藤本さんとは、今までまともに話したことなんてなかった。


だけど、彼女の明朗快活な性格や魅力的な笑顔に好感を持っていたし、憧れてもいた。


それは、弘人くんが彼女を好きだと知ってからも変わらなかった。



「 気にしちゃダメ。
  僻(ひが)んで言って るだけだから。」


そう言って彼女は私を元気付けてくれた。


誰にも気遣う言葉をかけてもらえなかったから、その言葉自体は嬉しかった。


でも、
そんな彼女こそ、その目は誰にも増して好奇心に満ち溢れていた。


彼女は人一倍、好奇心が強い方なのだろう。


すごく聞きたいけど、聞いちゃいけないっていう感じで、うずうずしているようだった。


「 もし…もし、相談した いことがあったら何でも 言ってね。」


目をキラキラと輝かせて言うその言葉に、思わずプッと吹き出してしまった。


“なんて無邪気な人なんだろう”


今まで重く沈んでいた気持ちがいくらか軽くなった。


恋敵とかそんなのは関係なく彼女と友達になれたら、どんなに楽しかっただろう。



高校では、一緒に群れるグループに入ってはいても、本当の『友達』はいなかった。


現に、今も同じグループにいた子が見て見ぬフリをされた。


それだけじゃなくて、
誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)まで言ってくる子がいた。


さすがに、これには怒りを通り越して呆れ果てた。



それに比べたら、
藤本さんは、好奇心をありありと目に浮かべてはいたけど、裏表がない分、好意的に感じた。


――だからだと思う…


私は意識する間もなく言っていた。

「 実は、お願いがあるん だけど…。」


自分でも何を言うのか考えていなかった。


――いや、違う。


いつも心の中で葛藤していたこと…


それが自然に口をついて出ていた。


「―――――――。」


私の言葉に、藤本さんは困惑した表情を浮かべていた。

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