朝、打ち上げの酒の余韻を残したまま俺は目覚めた。時計を見ると8時を回っている。
キョンとチコはまだ寝ていたので起こさないようにトイレに向かう。
明日の仕事の事を考えている自分がいた、キョンと離れ、元の生活に戻る。キョンといる空間が今日で終わってしまう。
トイレから出るとチコが起きていた。
(おはよう)
頭を抱えながらチコは言った。二日酔いの敏腕プロデューサー。
俺は台所にあったグラスに水を注ぎ、チコに渡す。
チコに夜の事を話すとあまり覚えてないと言う。そりゃそうだ、アンタ寝てたんだから↓↓
俺達が話しているとキョンが起きた。キョンにも水を用意していたのですぐに渡す。
『ありがとう』
「うん」
(そういえばソウキュウさんはいつ帰るんですか?)
「今日だよ、もうそろそろ行かないと」
『え?』
自分勝手な俺。
俺は準備をした。キョンも
『もぅ、早く言ってよね!』
と言いながら慌てて髪を整えている。
チコに御礼をいい俺達は外に出た。外は日差しが眩しくて半目になるくらい明るい。等しい間隔で街路樹がさらさらと新緑が春の風に触れて楽しそうに揺れていた。
車と人でごちゃごちゃしている東京でもこんな爽やかな風が吹いていてほのぼのした。それと同時にそれに気付かないで早足に歩く人達が不思議でならなかった。
キョンは羽田に着くまで俺の手を離さなかった。俺の方を向いて何か言おうとしているかにも見えた。
「どうした?」と何回聞いても
『ううん、なんでもない』の一点張り。
空港で搭乗手続を済ませ、ベンチに座った。
「また東京に来るよ。」
『、ソウキュウ…』
「ん?」
『やっぱりなんでもない』
少し沈黙が続いた、俺が東京にいられる時間は刻一刻と過ぎていく。
放送が鳴り、俺は立ち上がった。
「じゃあ行くね。キョン。」
『…ぃかなぃで…』