「お願いがあるんだけどさぁ…いい？」
「内容による」
クールを装おうとするが体は正直だ。心臓の鼓動が強くなる。
「高校でもう宿題が出てさ、それでわからないとこがあって…」
そういうことか…オレは勉強だけは得意でよく質問される。高校も有名な進学校だ。オレ自身にはそれがちょっとしたコンプレックスになっているのだが…
「夏織は？あいつ頭いいだろ？」
実に素直じゃない返事だ。だからダメなんだろうな…。
「間宮とデートで忙しいんだって。高校別々になっちゃったし」
なんだかいつもこのパターンで流されている気がする…。
「まあ…別にいいけど…どうせ用事ないし…」
「ホント？助かったァ…じゃあ明日駅前のマックでね」
「ん」
「はあ…」
ベッドに横たわり、溜め息をつく。吉川と２人っきりというのは願ってもないが、余計に諦めがつかなくなってしまった。今日が最後だと思っていたのに…。吉川は何故オレを選んだのだろう…なんて考えるがきっと意味なんて無い。なんとなく、なんだろう。そんななんてことない思いつきにオレがこんなにも思い詰めていることに、吉川は気づくことは無いのだろうな…。
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