後ろを向くと遠くの方で手をめい一杯ふっている人がいるのが見える。
僕は一気に緊張した。真剣に女の子としゃべるなんて一年半ぶりであったからだ。
そして、後ろの方から足音が近づいてきているのがわかった。
「この人があなたに紹介したかった人よ」
と由紀子おばさんに言われたので顔を上げて挨拶をしようとした…
そのときだった…
「あっ…!!!!!?」
顔を上げて僕は驚いた。
目の前にいるのは彼女ではないか…
そう…ベロンベロンに酔い潰れて面倒をみてやった泥酔女であり…
僕が好きになった女性あり…
一年半前に姿を消したあの彼女だった…
もちろん彼女も呆然としている…
すると由紀子おばさんが言った。
「何大声だしてるのよ、あんたは!恥ずかしいじゃない」
「ごめんなさいね〜、びっくりしたでしょ?ほら、立ち話もなんだから席に座って」
彼女は由紀子おばさんに促され席についた。
彼女の方を見ると…彼女の瞳からは大粒の涙が零れていた…
「望月 南です…」
「大野 陸です…」
僕たちはあれだけ一緒に居ながらお互いの名前すら知らなかった…今日が初めての自己紹介だった…
由紀子おばさんはなんとなく察したのか、僕たちを二人っきりにさせてくれた。
そして…二人きりになるやいなや彼女は泣きながら話しだした…