そこには先程のフードを目深にかぶり、全身をマントで覆った人物がセイル達の前に歩いて来ていた。
「…誰かしら?」
「…ソードメーカーだ…」「え!?」
サリアは驚いて、セイルを見た。
セイルは眉を寄せて、緊張した面持ちでその人物から目を離さなかった。
そのうちに、その人物はセイルとサリアの横を通り過ぎていった。
その人物が道の向こうまで行ってしまうと、セイルは、
「くっ!はあっ!はあっ!はあっ!」
と、膝に手をついて肩で息をした。
「あなた…一体どうしたの?」
「…あいつ…ただのソードメーカーじゃない。俺とは力が違い過ぎる…」
「力?」
「ソードメーカーの能力の事だ。奴の能力は俺の数倍はある…」
セイルは息を整えながら、悔しそうに歯ぎしりした。「やりあったら無事ではすまなかっただろうが…。平和な時代で助かったよ」
「…本音は?」
「奴に勝ちたいね」
きっぱりと言って、セイルはサリアを見て笑った。
「あなたらしいわ」
サリアはにっこりと微笑んで、セイルの肩を軽く叩いた。
「それよりさっきの話だけど、二人のうち一人はもう想い人がいるのよ」
「何っ!?どっちだ!?誰だ!?」
「それは秘密よ」