* * * * * *
ジリジリジリジリーーー‥‥‥。
7時にセットした、あたしの携帯のアラームが響き渡るー
朝かぁ‥‥。
カーテンの隙間から差し込む光の眩しさに目を細めながら、
あたしは重い上半身を起き上がらせたー。
重いのは上半身だけでは無くー
『気分もオモイよ‥。』
朝から気分が乗らない、こんな日はー
決して薬を飲み忘れる心配は無かったー。
昨夜も“睡眠導入剤”を服用して床に就いたー。
“抗不安薬”とー
“睡眠導入剤”ー。
あたしが二種類の薬を飲んでいる事は、
母と病院の先生しか知らないー。
勿論、聖人にも話した事無くて、秘密にしていたー。
余計な心配を掛けたくなかったんだー。
お母さん‥起きてるかな‥‥。
下へ下りたくないなぁ‥‥。
あたしは多分、キッチンで朝食の用意をしているであろう母と、
顔を合わせたくなかったー。
『奈央ー。起きてるのー?!』
いつもの様に、階下で母の声がするー。
うるさいなぁ‥。
起きてるわよ‥。
下へ下りると、早速母のお小言ー。
『奈央。その髪で学校へ行くのは母さん、まだ許してないからね。今日は学校休みなさい。
母さんが黒く染め直してあげる。』
染め直してなんていらないわよー。
『お母さん。あたし、今日この髪で学校へ行くから。』
だって、その為に染めてもらったんだもんー。
聖人の為に綺麗なあたしになりたかったんだもんー。
『何言ってるの?!奈央。お洒落は別に、髪を染める事だけではではないでしょう?!校則を、わざわざ破ってまで髪を染めても、先生に呼び出されて、叱られるだけならまだいいけど、あなたの夢まで奪われてしまうかもしれないのよ。』
母は、一気に話し切ったー。
その目は何時になく真剣だったー。
『あたしの夢‥?!』
『そうよ。あなたの夢。奈央は、小さい頃から絵を書くのが好きだったじゃない。絵本作家になりたいって言ってた事もあったでしょう?!』
母さん、何でそんな事まで知ってるの?!
あたし、話した事あったっけ‥‥。