母さん、何でそんな事まで知ってるの‥?!
あたし話した事あったっけ‥‥‥。
『でも、お母さん。あたし、絵本作家になんてならないよ。なれる訳ないじゃん。』
手に持った歯ブラシに、歯磨き粉を付けながらあたしは言ったー。
『どうしてそんな事言うの?!
夢は努力して頑張れば、きっと叶うと母さんは思うわよ。』
『母さんの言ってるのは理想論よ。
努力して頑張れば夢が叶うなんて‥。
そんな簡単に言わないでよ!!
努力して頑張ったって、その努力が報われなくて‥‥。
夢を叶えられなくて‥‥。
涙を飲んだ人だって沢山いる筈よ!!』
凄くー
久しぶりだったー。
母に、こんなに食って掛かる様な言い方をしたのはー。
『だったら尚の事、校則違反になる事はやめて、しないよりはマシな、努力をする方にエネルギーを注ぎなさい。』
あたしは朝から気分が優れなくて、
薬も飲んだしー
情緒不安定だったからー。
『どうせ家は母子家庭だし、貧乏だから大学も専門学校も行ける訳がないって思ってるもん。
だから努力したって無駄じゃん!!
貧乏人は貧乏人らしく生きればいいのよ!!』
思いもよらず、あたしの口から出た言葉はー
母をかなり傷つけるハメになってしまったー。
“後悔先に立たず”ー
言ってしまった後に、かなり後悔したー。
母は泣いていたー
あたしの目をじっと見つめたままー
ポロポロ涙を流してー
泣いていた‥‥‥。
その場にいたたまれなくなったあたしはー
二階の自分のへやへ行き、
急いで制服に着替えたー。
『学校言って来る‥‥‥。』
そう一言だけ母に告げー
あたしは足早に家を出たんだー。