ナルシズム

Gon  2008-03-28投稿
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6パックに割れた腹筋。体脂肪を削ぎ落とし、筋肉を鍛えた見事な体。甘いマスクはいまも変わらずこの顔に張り付いている。
完璧なボディ。ずっと夢見ていた。
老いは怖くない。金に糸目をつけず、さる手術を受けた。東欧諸国に伝わる、知る人ぞ知る秘伝のエステである。
誰もが受けられるわけではない。気難しい先生で、いくら紹介でも彼のお気に召さない人は受けることが出来ない。
僕はたまたま運が良かったのか。それとも彼を納得させるに足りる美貌を備えていたのか。
ローマは1日にしてならず。十何年かけて丹念に磨いてきたボディだ。自信はある。
生まれもった美しさを生かすも殺すも努力次第である。後はほんのちょっとの我慢をすればいいだけのこと。
手術には代償がつきもの。
太陽に当たれない。これは日焼けから肌荒れを防ぐためだから仕方ない。
首筋に手術痕が二つ残ってしまう。これも致し方ない。
この美容法は人の血液を使用するのだが、もう慣れてしまった。
しかし、なによりも辛いのは鏡を見れないことだ。鏡を眺めることが最大の喜びだったのに・・・。

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