堕落

あんさん  2008-03-28投稿
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『遅くなるから泊まろうか』
そうメールすると千佳はすぐに嬉しそうなメールを短く返してきた。
単純な奴。ついさっきは、会えない不満からおもいっきり不機嫌なメールをよこしたくせに。
会議が終わり帰りの車の中で再度メールする。
『やっぱり帰らないといけなくなったから明日は泊まれない。そのかわり23時までいられるようにするよ』
送信完了を見届け、電源をオフにした。
千佳の落胆した表情が目に浮かぶ。
前会ってから二週間が経っている。そろそろさみしがってるだろうと思い誘ってみた。
案の定、『会いたい』という千佳に、俺は忙しさをアピールしながら会う時間を指定する。
この女はいつまで騙されてくれるのだろう。いやもうすでに割りきっているのだろうか。
俺にすがるしかなく、俺を独占できないとわかっていて、それでもなお俺を求めずにいられない女。
その理由はわかりきっている。そう仕向けたのは俺だから。

あと一時間で、くだらない宴会もお開きだ。
千佳はきっと俺からのメールをひとりじっと耐えながら待っている。
『あと三十分でおわる。いつものとこへよろしく』
夜はこれからだ…

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