ボクの右手には、真っ黒な拳銃。
ボクの左手には、真っ白な拳銃。
黒の拳銃は罪人を殺し、白の拳銃は聖人を殺す。
―――今日は、白い拳銃だけ。
聖人を殺すのは、とっても悲しい。
ボクは、罪人を殺すのは大好きだけど、聖人を殺すのは、大嫌いなんだ。
でも、しょうがないよね。
それが、均衡者であるボクの仕事なんだもん。
たいていの聖人は、ボクが均衡者だと名乗ると、『判りました』と納得してくれる。
するとボクは、世界の為にと言って、聖人を殺す。
納得してくれた聖人は皆、『世界の為に』とボクに返して死んでいく。
ごめんなさい。
聖人を殺したあとに残るのは、罪悪感だけ。
(ごめんなさい、ごめんなさい。)
でも、感謝の心も残ってる。
(世界の為に死んでくれて、どうもありがとう。)
でもいつか、この白い拳銃に血がしみ込んで、変色して、黒い拳銃に変わるだろう。
黒い拳銃で殺すのは、聖人であろうと罪人である。
世界の終わりに、きっと聖人はいない。
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よく判らなくても結構です。
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