僕がこの家に引き取られて3年。家族もいない、帰る家もない。そんな僕を優しく向かえてくれたのは、見ず知らずの夫婦だった。
二人には子供もおらず、実の息子のように可愛がってくれた。親戚からたらい回しにされてきた僕にとって二人はまるで天使のようだ。
あの日までは…
時が過ぎ、僕は高校生になったある日、喉が乾いたので水を飲もうと台所にきたら、奥の部屋で話し声が聞こえた。
まだ二人とも起きているんだ? ビックリさせちゃお!
静かに話しのする方に向かい、タイミングを見計らうため戸の陰に隠れた。
僕はその時、
あのまま寝てればよかった。話しなんて聞くんじゃなかった。瞬時に心の中で呟いた。