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ウグイ  2006-04-30投稿
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太陽が真上に昇る頃、カインは『死の灰』に埋もれた町並みに建つ、古ぼけた倉庫に足を運んでいた。

埃っぽい倉庫内に、どっしりとかまえる一つの巨影に息を呑む。

スカイブルーに塗装された車体に、重量感のある四つの車輪が車体を支えている……。

「……トラック……か?」

自身がトラックと呼んだ、フォアランナーが作り出した古代の遺産物である巨大なる車両を見上げながらカインは口を開いた。

「あっ、カインさん」

数瞬、カインの僅かな声に反応した男が台車に寝転がったまま車体の下から台車につけられたローラーを転がしながら仰向けの状態で姿を現した。

彼の名は、ウォール。
筋肉とは言い難い太った体つきに、戦闘には不向きなぼんやりとした表情をした反乱軍『ムラクモ』の一員である。

「これ……動くのか?」

相次ぐ作業で泥を塗った様に汚れた顔を、戦闘服の袖で拭うウォールに巨大なる車両、トラックを見上げながら尋ねる。
それは、どちらかというと何に対しても無関心なカインにしては楽しそうにも見えた。

この『ムラクモ』にやってきてから一度も自分達に見せた事などないカインの子供の様な表情を視認したウォールは、嬉しそうに笑った。

「ははっ、もちろん動きますよ、ただ……」

言いかけてウォールは表情を曇らせる。

「ただ……?」

カインの質問に対し、身を任している台車を片足で蹴り上げて再び車両の下に移動したウォールは、立ちすくむカインに手招きをした。

ウォールのもったいつけた返答に、ふぅ、と首を捻り小さく溜め息を吐いたカインはゆっくりとその足を手招きの元へと移した。

そして仰向けに寝転がりながら、真下から車両を見上げるウォールの体制を真似る様にカインもその場にしゃがみこんだ。

見上げた先に広がったのは見たこともない、機械類やパイプの様なものが不規則に取り付けられている光景だった。
その機械類の中の一つである四角い凹凸(おうとつ)のある機械を台車に乗り、仰向けでいじりながらウォールは苦笑混じりにカインに先刻の不問を返答する。

「駆逐系統みたいなんですが……イカれてるみたいなんですよ、全くこんな厄介なモンをフォアランナーって言うのは、よく作れたもんですよね」

動かす手を止めずまま、ウォールは笑いながらカインに顔を向けた。



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