これはあくまでも¨二人¨の物語だ。
傍観者は絶対に必要ない。
TKとサル坊が名前を棄てた場所に、サル坊は立っていた。
海。
目の前は海だった。
荒れている。
サル坊に夢があるとすればこの海をひたすら泳いで、対岸まで辿り着くことだ。
到底不可能な話。
意味の無い話。
命を棄てる話。
泳いでみなければ分からない。
サル坊は泳ぎ続けた。
氷水のような冷たさがサル坊の体力を奪った。
徐々に体が沈む。
脚が動かない。
次に目を開けたのは、見知らぬ部屋だった。
暗い。夜だろうか。