翌日サル坊は病室から飛び降り命を絶った。
残された手紙には謝罪と、感謝と、リボンへの気持ちと、TKへリボンを託したというメッセージが込められていた。
「…リボンの考えは素晴らしいと思う。だけど、リボンが女として幸せになるにはやっぱり結婚が一番だから…」
半年過ぎて、二人は結婚した。
リボンはまだ歌手にはなれておらず、今はアルバイトで家計を助けている。
TKも相変わらず稼いでいる。
「ただいま。セリナ?」
リボンは唯一部屋に飾ってあるサル坊の写真の前で泣いていた。
「お帰りなさい!…思い出しちゃって」
「良いと思う。アイツも喜ぶよ」
「本当に三人じゃ…ダメだったかな」
「アイツ、お前に教えたかったんだよ。世界がどういうものか」
「?」
「そりゃ愛してる人とはずっと居たい。でも何人も何十人も愛したら、お前が嫌になるんだってことを」
「でも三人なら…」
「じゃあ四人は。五人は。六人は。」
リボンは顔を伏せて泣いた。
「お前、すげーよ。だけど、割り切らなきゃ。最後にアイツは、お前を守ったんだ」
サル坊の遺影は、リボンの涙で輝いていた。
愛は数多ある。
人もまた然り。
しかし、この世の全てを愛するならば、それは愛ではなくエゴである。
隣りの者を愛せ。