まじめがとりえのしがない会社員の山瀬浩一は幼なじみである小野田裕子の妹あかねに恋をした。
しかし、浩一と裕子は結婚を前提に交際しており、三人の取り巻く環境に変化が起きていくのであった。
第一章 すべてのはじまり
俺の名前は山瀬浩一。27才どこにでもいる平凡な会社員だ。まじめがとりえだけで特に目立つとこもない普通のサラリーマンである。そんなつまらない俺にも結婚を前提に交際している女性がいる。幼なじみの小野田裕子だ。裕子は俺と生まれた時からの幼なじみで、いつも二人一緒にいる機会が多かった。さらに母親同士が親友ということも原因の一つでもあった。
裕子はおとなしい内向的な性格の俺とちがい明朗活発で、曲がったことの嫌いな性格だった。
だから俺はいつもそんな裕子をうらやましく思っていた。裕子は小さい身体ながらもトラックの運転手として運送会社に働いている。裕子とは毎日のように仕事帰りに会っていた。親同士は二人の結婚には大賛成だ。ったくいい気なもんである・・・
俺自身としては裕子との結婚はまだ考えてなかった。もっとしっかりしないといけないという考えが頭の中にあったからだ。
「山瀬君 ちょっと・・・」
上司の部長に呼ばれた俺は企画会議を行う会議室に呼ばれた。 そこには部長だけではなく 営業課長や係長までもがいた。
(何だろう?)
仕事でミスした記憶などないのに不安がよぎった。
なんと大阪支社への転勤の話しだった。あまりにもいきなりだったのでさすがに困惑した。
「少し時間を下さい」
俺はそう言って会議室をあとにした。