「おまちどおさま」
ラーメンドンブリを盆に乗せ、弾む床の上をばあちゃんはスープ一滴こぼす事無く絶妙なバランスで運んで来た。
さて、肝心のラーメンは‥一杯四百円のラーメンとは如何なるものか?
パッと見、黒っぽいスープが印象的だ。
気になる具の陣容はというと、先ずは中華そばの永久欠番?メンマ?が数本。
そして中華そばのアクセント?ナルト?が一枚。
薬味的存在の?ネギ?がパラパラ。忘れちゃいけない?海苔?は珍しく?刻み海苔?として中央にツンモリと。
そ、そして、中華そばの女房約?チャーシュー?が、な、何と三枚!
ここで私は狼狽えた。
「ひい、ふう、みい‥」
何度数えても三枚!
堂々の三枚!
「控えおろー!頭が高ぁーい!」の三枚!
もはや何も言う事は無かった。此れ程の武将共の陣容に何の不満があり申そう。
私は武者震いを押さえ、勇猛果敢にラーメン‥否、中華そばへ立ち向かった。
暖簾も無いオンボロ食堂‥
其処には不器用故に、一切の飾りの無い中華そばがあった。
「速球、ストレート一本勝負」の自信に満ちた入魂の一杯だった‥
満足至極の一杯だった。
完
(この店は実在します)