懐かしい夏〜前篇〜

阪田亮太  2008-03-31投稿
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熱く眩しい陽射し、五月蠅い蝉の鳴き声、そしてウォータークーラーの水が温い。
そして、一学期の終業式がやってきた。

僕は藤田梨穂、小学三年生

校長の長い話、もう要らない。
表彰式、僕には関係ない。どうせ僕には、なんの才能も知識もインプットされていないから。僕は本当にこの世界でちゃんと呼吸して物を眼で見て生きているのだろうか…


でも、夏休みに入って二日後、僕は初めて誰かの役に立てるんだ。

田んぼの中にある踏切で、一人の小さな少女が転んでいた。
遠くて、あまり見えなかったけど見た目は小学一年生くらい、
踏切はコンコンと音をたて、あの棒が下がっている。電車の音が聞こえ、振り向くと特急列車がこちらに向かう。
僕が全速力で走って助けに行った、
少女は泣いていた「死にたくない」と言いながら、小さな体が踏切の棒を飛び超え少女を抱きかかえ踏切の向こうへ。
その後五秒後には列車がその踏切を通った。



僕は少女に何故逃げなかったのかを聞いた。
すると少女は自分の左足を指差した。
その足は骨折していた。そして動く事を許されなかった、少女は汗だらけの僕に言った。

「痛い…いたい!」

そう言われると僕はそこから数kmある所にある病院までおぶって行った。
僕は少女に家族の居場所や家の場所を聞こうとしたが、少女は痛いと何度も何度も泣きながら言うので聞けなかった。


僕は二時間かけて町の病院へ行った。勿論汗だくで足がパンパンの僕は、病院の入口で少女をおぶったまま、俯せにぶっ倒れた。



つづく



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