亜佐美の中で、貴史の存在なんて全くなく、仕事で会話をすることすら無かった。
春に初めて交わした会話以来、早4ヵ月・・・時は、蒸し暑い8月になっていた。
同じ職場のスタッフ淳子(じゅんこ)と一緒に亜佐美が仕事をしていると、貴史が近寄り声を掛けてきた。
「好きな音楽とかアーティストって誰かいますか?」
「やっぱりジャニー○ですね!!」元気に答える淳子。
「はいはい、誰が好きなんですか?」亜佐美に話しを振る淳子。
「うーん・・・最近は、安○奈美○さんとかよく聴きますよ」少し照れながら話す亜佐美。
「そっちは、好きなアーティストとかよく聴く音楽は何ですか?」
「今度、○ツメ○シのLIVEに行くんですよぉ〜」と貴史は答える。
「へぇ〜」(亜佐美・淳子)
(○ツメ○シが好きなんだぁ・・・)
この時、貴史と亜佐美は初めてまともに会話をした。
亜佐美の心の中に、貴史という小さな存在が生まれはじめていた・・・