・・暗くて寒い。
何も聞こえないような気がしたが、どこか遠くでそれが叫んでいるのが聞こえた。
・・どうして、・・
そうだ、俺が一回振り上げるごとに一つ忘れよう。
忘れれば、きっと楽になれるから。
・ ・彼のことも、全て。
俺と彼の思い出の全てを、ここに、置いていこう。
でも、
それでも、
彼の最期の言葉だけは、忘れられなかった。
それは、微笑みながら彼が口走った、小さな願いごと。
これは、その時は人間だった少年が痛みを避けるために記憶を捨ててから、80年後の物語。