Mind Adventure 13

籬 規那  2008-04-04投稿
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笛みたいな声で鳥が鳴いている。

――こんなに人が沢山いるなんて……

視界に必ず4、5人分は人の影が映る。


「寂れたところだなあ。旨いもんとかあるといーんだけどなぁ……」

ジンがぼそっと呟く。
「……………」

えー……
うわあぁ異文化って恐いなあ。


しみじみ(?)とそんな事を思ってしまう。



村にいた時は、なるだけ人を避けて生きてきた。祖母が妖術や武術の指導をしてくれていたが、自主的でない鍛練は当然夜ばかりだった。




思えば、一日中外に出て歩き通し、なんてあの頃にはとても考えられなかったことで。

日焼け知らずの病的に白い肌が陽に焼けて痒くなるのさえ、自分が認められたみたいに誇らしく感じた。


人を見るのなんかも慣れていなくて、ついきょろきょろしてしまいそうになるのを今堪えているところだ。


こうしてみると、外見的な面から、仲間達について分かることが沢山ある。

恐らくそれぞれの文化圏の特色が出ているのだろう。


そう思ってみると、メシアのドレスは凄いものがある。以前彼女に尋ねてみたら、ジンが比喩無しで鬼とか神とかそんなスピードでガーッと来て、

「大陸の方の貴族の娘で、家にいられなくなったらしいんだ!」

と参上の時に勝るとも劣らない早口で話していた。


メシアも、のほほんとしてるけどいろいろと苦労しいて、それでもこんな風に穏やかに微笑っていて。


敵わないな、と思う。



一人でいると、考えずにいられない。

風が気持ちいい。



――海、かぁ。

今でも信じられない。

今までに学んできたことから、しくみも予想がつくのだが、自然は本当にうまく機能している。



水が、世界が廻っている。

"生命は巡る"という言葉を初めて聞いた時、本当かな、という思いがあった。










世界はこんなに広大で、

それに比べれば、自分の存在や悩みのなんとちっぽけな事か。





もっと、見たいと思った。

そして、この世界の一部出先ありたい。







長い旅路に、何かを見出だした日。



ほんの些細な、光。



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