お母さんは幸せだったの?
私は、母にそう尋ねる事が良くある。
そうすると決まって母は笑みを浮かべ、「今も幸せよ」とベットから手を伸ばして私の頭を撫でながら答える。
母は、父の死後。女で一人私を育てる為、働き過ぎて、過労が原因で体調を崩し、病院に入院した。
母は、体調が優れないのに見舞いに来た、私の心配ばかりする。
母はいつも、自分の心配はしないで他人の心配ばかりする。
私は、そんな優しい母が大好きだった。
だから、母を置いて死んだ父を許せなかった。
私は、父の事を知らない。私が生まれる前に死んでしまった。
なんで死んだのかは知らない。
母は、父の話しをするといつも悲しい顔をするから。
ある日、母が死んだ。突然だった、脳出血だった。
私は、母の入った墓の前でもう一度尋ねた。「お母さんは本当に幸せだったの?」
墓は何も答えない。
私は立ち上がり、ある研究所に忍び込んだ。ここは、母の友人の研究所で時間移動についての研究をしている。
私はここにある物を探しにきた。
それを見つけ、私は迷わずスイッチを入れた
父に会いに行こう。
タイムマシーンは動きはじめる。