〜世界を導く者〜2

青海虎  2008-04-05投稿
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第二話「響く声」

無の世界。ここには、何もない世界だと思っていた。僕以外は――。

そう思っていたところに現れた声。しかし、その声の主の姿を見つけることができない。

その声は、直接僕の中に語りかけているからか。

というより、聞く、見るという動作が、この状況に通用するのかも怪しい。

「だ――誰ですか?」

僕はおそるおそる聞いた。口で言葉を発するというより、ただ心で思うようにして言った。

声は、しばらくの沈黙のあとに返ってきた。その声は、僕の中でこだまするように鳴り響いた。

「誰かって? もちろん、私とあなたは初対面ですよ」

淡々と語りかけてくる声。その声は、僕を少し馬鹿にするように聞こえた。

相手の表情が分からないために、本当にそうかは分からないけれど――。

「あの、ちょっと質問してもいいですか?」

僕は、その声に控えめに聞いた。

「――いいですよ」

落ち着いた声で告げられる、了承の返答。

僕は、この不思議な空間に抱いていた疑問をついにぶつけた。

「ここは一体、どこなんですか?」

僕は静かに、答えを待った。声が返ってくるまでの時間が、やけに長く感じる。そして――。

「ここは――」

つづく。

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