緑の車は似合わない眩い景色を映して走る
時に停まり時に無茶なスピードで
時に雨に打たれ時に風に吹かれて
大きな道でクラクションを鳴らされ
小道に入ればすれ違うのも難しく
何処へ向かう道か分からない時もある
でも時折行き止まりと思う道に先があり広々した自然が広がる時もある
その時は車を停めて土手を登って
遥かな景色を眺めてみる
何て訳でもないけれど
自分が偶然此処にいる事確かめてみたくて
車の波の中否定し見失った自分の存在を
何も言わずそこに在る物だけが
肯定している気がして立ち尽くす
私はあの車達の中に愛を見つける事が出来ない
私の様な者はあの雑踏でガラスの破片になるのだろう
上手く自分を話せず上手く人を受け止められないまま
まるで私と同じようにただそこにあるだけの自然に心寄せて
また車に乗り当てのない旅を続けてゆく
涙雨の痕遺る緑の車で