時計は午後5時。予定時刻の30分前。マラソンしたあとみたいに高鳴る鼓動に軽い息切れを覚える。
しっかりしろ、私!
刻々と迫りくる予定時刻。心の中は期待と不安が入り混じって、マーブル模様を描く。
向こうから彼が歩いてくる。 気がつけば時計は5時30分を指していた。緊張で足がガクガク震えてしまう。体が火照ってりんごみたいに紅くなる頬が恥ずかしいから夕焼けのせいにした。
深い深呼吸を一つして、私は顔をあげ彼の瞳を見た。
好きです…
緊張で涙目になった私はそれを隠すために、少し俯いて前髪を触った。高鳴る胸の鼓動に、逃げ出したくなる衝動。
神様お願い…どうか…
私は心の中で叫ぶ。
俺も。
嬉しさで溢れる涙。涙で彼の顔が見えないよ。緊張で乾いてしまった唇にキスをくれる。私はキョトンと恥ずかしい顔してしまった。
私を抱き締めてくれた彼の体は、とても温かかった。